今年1月に角川出版社の中国現地法人天聞角川がとある日本のライトノベルの挿絵が原因で天聞角川の発行する全てのライトノベルを書店から撤去したというニュースが流れました。
アマゾンや京東などネットショッピングサイトからも消え去り、取り扱っているのは個人書店のみとなったためネットでは天聞角川のラノベは当分購入できず、今後しばらくは新作が出版されないのではと危惧されました。
しかし、4月4日にリニューアルされた天聞角川の公式ホームページではライトノベルを含む漫画や雑誌が再び購入できるようになっており、アマゾンでもいつの間にか『ソードアートオンライン』や『東京レイブンズ』などが復活しておりました。
天聞角川公式ホームページ
ですが作品全てが昔のように買えるようになったわけではなく、撤去の原因とされる作品を含む多くのライトノベルはまだ市場に出てきていません。それに、復活したと言っても現在はまだ一部の書籍が再販されただけで新作は見当たりません。
例えば『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』は2013年4月に11巻が出たのを最後にして最終巻待ちのままです。まぁ俺妹に限っては別の理由がありそうですが…
そして現時点での最新作であるラノベの出版日時が天聞角川とアマゾンで一致していないのも不可思議です。例えば『聖剣の刀鍛冶』6巻は天聞角川では4月付で発売されていることになっていますが、アマゾンでは1月25日発売と書いております。
上が天聞角川、下がアマゾン
これはもしかして単行本の紙面に記載されている正式な出版日は1月末だけど、実際に市場に出たのは4月という意味でしょうかね。
時間の面でもう一つ不可解なことがあります。1月末発売の天聞角川のラノベは撤去騒動に巻き込まれ、アマゾンではしばらく発売されていなかったはずなのに何故か撤去時期にレビューが書かれていることです。
例えば本を予約していた場合は商品のページがなくなっていても本が送付されるようになっており、購入者はメール機能を使用してレビューを書き込めたのかもしれません。
それとも撤去されたとはいえアマゾンに出店していた個人書店ではいくつかのラノベはまだ購入可能であったので、その個人書店で購入したときに付けたレビューが反映されているのかもしれません。
もしくはそもそも撤去なんかされていなかったのかもしれません。
実際、今の今まで天聞角川から本件に関する正式なコメントは公布されていないため、読者はラノベが撤去された本当の原因がわからず、現時点で最有力視されている理由も説得力はあるものの推測の粋を出ていません。そして、いつ撤去されいつ再販されたのか具体的な日時は誰にもわからないので、天聞角川やアマゾンから実は1月末に再販されていたと言われてもそれを否定することはできないのです。
天聞角川のラノベは今後徐々に市場に再び現れるようになり、この撤去騒動は結局なし崩し的に収束してしまうのでしょうか。そうならない可能性がまだ残っています。というのもリニューアルされた天聞角川のホームページでBBSだけがまだメンテナンス中なのですが、まもなく復旧するという公式発表が出ています。
BBSでは撤去騒動や作品が再販されるか否かを触れないわけにはいかないので、復旧と同時に説明が公布される可能性は十分あります。と言っても天聞角川に説明義務はないので、あくまでも期待するしかありませんが。
それに天聞角川にとって今回の撤去騒動は初めての問題ではありません。百度百科や中国語版ウィキペディアには表現上の理由でこれまで天聞角川が対処した事件がまとめられています。
『これはゾンビですか?』
台湾版のタイトルは直訳だが、大陸版では『魔装少女は俺様!』になっている。
『シュガーダーク 埋められた闇と少女』
台湾版のタイトルは直訳だが、大陸版は『シュガーダーク 埋められた闇』になっている。
『お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよねっ!』
台湾版のタイトルは直訳だが、大陸版では『私と大好きなお兄ちゃんの日常』になっている
『あるゾンビ少女の災難』
台湾版のタイトルは直訳だが、大陸版では『ある生き返り少女の災難』になっている。
『ストライク・ザ・ブラッド』
台湾版のタイトルは直訳だが、大陸版では『ストライクシリーズ』という名前となり、表紙には『STRIKE THE BLOOD』の英語タイトルが大きく書かれ、『ストライク・ザ・ブラッド』の中国語訳タイトルは目立たないよう裏表紙にのみ記載されている。
百度百科の方には他に『神様のメモ帳』で靖国神社と人民解放軍が、神社と軍側に変更されているなど、他作品の問題点がより多く記載されております。
そういうわけで中国での表現規制問題など今に始まったことではない天聞角川は今後ゆっくり時間をかけてライトノベル等の出版物を市場へ戻していきそうです。その間、読者はとりあえず新作が出るのか否かだけに注意して、ほとぼりが覚めるまで撤去騒動の真相には触れないほうがいいかもしれません。
なにせ一番撤去理由を知りたいのは他でもない天聞角川なのかもしれないんですから。