浙江省は寧波にイケメン乞食がいる、というニュースは最近日本のネットで広まっているが、中国は更に凄まじく、百度で『乞食』と検索するとトップに彼のニュースが出て来る。容貌のために現在ネットでは数多くの彼のコラージュ写真がアップされている。
ネットでは彼は口がきけないとか自分の名前がわからないとか精神に異常を来しているとかいろいろ言われています。女物の服を着ているのはそのせいだとかも。
あるネットユーザーのスレによれば、彼は08年から乞食をやっていて女装は好きだった女性を思ってのことだとか。
これが本当の話なら彼は2年以上乞食生活をしていたことになる。
日本じゃ乞食は違法とされているが、中国で乞食は珍しいものじゃない。むしろ物乞いが許されないホームレスと、物乞いをして帰る家もちゃんとある乞食のどっちが問題なんだろうと問いたくなる。
ボクは生まれが北海道は釧路という土地柄か、道を歩く有名人と同じようにホームレスなんて見たことがなく初めて見たのは高校二年生の時に修学旅行で東京に行ったときだった。早朝に一クラスごとにバスに乗って出発しようとするとき、ゴミ置き場で空き缶を漁っているオッサンが窓から見えた。
「おいホームレスだ!ホームレスがいんぞ!!」
みんな初めて見るホームレスに浮かれて、席を立ち上がって窓の外を覗いた。
今思えばアレが車中で一番盛り上がった出来事だった。
中国の乞食の中で一番オーソドックスなのは路上に座って小銭の入った空き缶をジャラジャラ鳴らしている乞食だ。ほかに代表的なものを挙げれば、
地下鉄車両で歌を歌いお金を乞う乞食。盲人や身体に障害を負った者など老若男女どんな乞食でもできる物乞い方法だ。正直に言って彼らの歌声は耳障りでしかなく、歌に感動してお金を上げることはまずない。
二つ目は地面にチョークで『お財布落としました。食べ物を買うお金を恵んで下さい』となどと書く乞食?「乞食?」なのは、この手段を使うほとんどの人の身なりが一般人とあまり変わらない女性だからだ。しかし小遣い稼ぎにしては割に合わないので、彼女らの正体はよくわからない。あと、チョークなんてそこらへんで売ってないんでどこで補充しているのかも不明。
続いては病気の乞食。病床の親や子供と一緒に物乞いをする。このとき、子供は親の腕の中で寝ていて、年老いた親は地面に布団を敷いて寝ている。ただし彼らが本当の親子関係にあるのかわからない。ただ、初冬にも見かけることはあるので本当に病気ならそんなことするより暖かい場所に移れば良いんじゃないかと心配になる。
ストリートライブ乞食。二胡を弾いてお金を集める。しかしやっぱり聴けたもんじゃないので彼らの技術が賞賛されてお金をもらうことは少ない。
そしてボクが見た中で素直に感動をしたのは、両腕がなく口や足で筆を持って書道をする乞食だ。初めに挙げたカラオケ乞食や二胡乞食、この書道乞食は『売芸人』とも呼ばれ芸を見せる代わりにお金をもらう商売?の形式をとっている。
その他にもっと派手なストリートパフォーマンスをやったり、動物を使った『売芸人』もいるそうだが、ボクが見たのはこれぐらいだ。
こういう人たちを思い返してみると、今まで醜い顔で同情を誘う物乞いはいたが、ルックスを売りにする乞食はいなかった。このイケメン乞食がイケメンと呼ばれネットで評判になるのは不本意だろうけど、普通なら忌避される乞食にとってネットの現象は革命なんじゃないか。このまま上手いこといって、彼が何もせずにお金を貰えるようになれば新しい姿の『売芸』だろう。
今回の騒動も結局は一過性のブームで終わってしまうんだろうけど、これで中国人が乞食問題に関してもっと注目すればなぁと願う。
だって地下鉄乗ってるときカラオケ乞食がうるさくてしょうがないんだから。