前回三度にわたり人肉捜索という物をご紹介しましたが、最後に人肉捜索ネットに載せられた奇妙な人捜しを紹介いたします。まずはコチラの本文を御覧ください。
北京、もしくは煙台(山東省)にいるお前ら、俺の彼女探してくれない?
前回、前々回と続けて人肉捜索のやり方を紹介しましたが、今回は人肉捜索が持つ真の力を皆さんに紹介いたします。
人肉捜索が一人の人間のプライバシーを丸裸にすることは皆さんご存じでしょうから、その原動力が決して無私無欲から生じた正義感ではないことは説明しなくても良いでしょう。そして人肉捜索の目的が問題の解決ではなく、如何にして対象を酷い目に遭わせるかという点にあるのも言うに及びません。
しかし人肉捜索ネットに載っているような記事は真の人肉捜索ではありません。あんなものは極論すればただの恨み言や復讐に過ぎず、同情心を駆られたところで人々の支持は得られず、相手にも大打撃を与えられません。
真の人肉捜索とはネットユーザーが一丸となり人海戦術を駆使して気に食わない奴を社会的に殺すことであります。
ここで人肉捜索の性格をこれ以上ないほど表した、王千源事件について触れてみたいと思います。
前回紹介した人肉捜索はいわゆる情報弱者、またはネット利用者を対象にしたものですのでネットに痕跡を残していない人間を探すのは不可能です。普通、人はネットで他人を探すことなんかしないでしょうし、探される謂われもありません。
痕跡がないのなら自分から作ればいい、とはなりません。いくら犯罪者とはいえ他人の個人情報をアップすれば今度はこちらが犯罪者になってしまいます。しかしそれは日本の話。中国ではそれがない。むしろ、詐欺や強盗などの犯罪が蔓延り、警察が怠慢で仕事をしない世の中では奨励される行為ですらあります。
今回取り上げるのはそんな中国だからこそ生まれたサイト、です。
そもそも人肉捜索とは不特定多数の人間がターゲットの個人情報を根こそぎネットにアップする人力の検索を指します。写真に映っている人間の身元を特定するのは序の口で、学歴や恋人の有無、果ては彼が愛飲している煙草の銘柄まで突き止めます。
この人肉捜索ネットはネットユーザーに捜索の協力を募るサイトです。
百聞は一見にしかず、実際に御覧頂きましょう。
はじめに、人肉捜索とは人力で何かをweb検索し、解決を図る方法である。大勢が協力して特定作業に入るのが主だが、ここでは一人でも出来る人肉捜索のやり方を説明したい。
まず気に食わない相手の名前をグーグル、または百度に打ち込んで下さい。もちろんここで対象の所属を検索にかけることもお忘れなく。何せ中国は同姓同名なんか珍しいことじゃないので。
その対象が定職に就いていればかなりの確率で彼の個人情報が載っている職場のサイトに辿り着けます。対象が学生でもご心配なく。中国版フェイスブック校内ネットには実名や写真が無防備に載っています。
やっと探し当てたサイトに住所が書かれていなくても落ち込むことはありません。そこにはきっと電話番号やQQ(中国板MSN)番号が書かれていますので今度はそれを検索にかけて下さい。それで大抵見つかります。
この方法を実践したAさんの話
Q,なんで人肉捜索をしようと思ったんですか?
A,初めはするつもりなど毛頭もなかったです。でもネットで個人業者に金を騙し取られて、一泡吹かせてやるぞと奴の名前を検索にかけたんです。
Q,ご希望のものは見つかりましたか?
A,それはもうアッサリと。この方法を実践したら相手の住所どころか奴の職業までわかりました。早速電話してやりましたよ。とてもビビった声を聞けたのが嬉しかったです。今度は職場に苦情の手紙を送る予定です。
Q,人肉捜索について何か意見はありますか?
A,あまりにも危機に対して無自覚だと思います。ネットに個人情報をアップすると言うことがどういうことか全くわかっていません。しかもそれが個人レベルでなく企業レベルで遅れてるんです。日本でもソーシャルハッキングはいまだに起こりえます。ですがこの国は情報化社会に無知過ぎるんです。
次回はもう一つの人肉捜索を取り上げます。
注・この方法は、未だプライバシーに関する法律がなく自意識も低い中国国内でのみ有効です。