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プロフィール
HN:
栖鄭 椎(すてい しい)
年齢:
41
性別:
非公開
誕生日:
1983/06/25
職業:
契約社員
趣味:
ビルバク
自己紹介:
 24歳、独身。人形のルリと二人暮し。契約社員で素人作家。どうしてもっと人の心を動かすものを俺は書けないんだろう。いつも悩んでいる……ただの筋少ファン。



副管理人 阿井幸作(あい こうさく)

 28歳、独身。北京に在住している、怪談とラヴクラフトが好きな元留学生・現社会人。中国で面白い小説(特に推理と怪奇)がないかと探しているが難航中。

 Mail: yominuku★gmail.com
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Twitterの裏技サイトにアクセスできなくなり、北京でのTwitter生活一時停止。また新しいサイトを探し出すのが面倒くさい。

 e6860d52.jpeg

 

そして歳月・推理8月号読了

 

 

巻頭カラー特集は『輝ける血に塗れたミステリの新星たち』

新星と書いているが紹介されている小説家はみな有名どころばかり。名は知られているが食わず嫌いされてしまう作家と作品を挙げている。米澤穂信、湊かなえ、三津田信三、恩田陸、伊坂幸太郎、平山夢明などが出ているが特に大した共通点はない。

 

今回掲載されていた中国人作家の作品は5作品。そのうち読んだ2作品をここで紹介する。


蔡棟鬼园里的四公子 幽霊庭園の四人の令息』

 

四公子なんて書いているから4人全員男だと思ったらそのうち2人が女性だった。外国人だからこそ陥る叙述トリックか。

芸術家四公子に数えられる有名画家の王染夢は妻と共に故郷の村に帰る。しかし野次馬の対応でウンザリしてしまい、山頂にある幽霊が出ると噂される清朝時代の庭園を改築しそこに一人で住み込み創作活動を行う。

他人を寄せ付けず引き篭る王染夢は人前に姿を現さず、一人村に残された妻はいつの間にか村から去り、王の消息は誰も知る術がなかった。そして一年後、四公子の一人書道家鄭学篆(女)は名探偵燕芹泥に仕事を頼む。その仕事とは幽霊庭園で暮らす王の様子がおかしいので調べて欲しいというものだった。

探偵には助手の熊禎というとても優秀なパートナーがいて、実は事件を解決するのはこのワトソンなのだ。名探偵は「密室殺人に決まっているわ!」とか「誰かに話を盗み聞きされるなんて探偵小説らしくなってきたわ!と見当外れなことを言っては熊禎に訂正される。

 

探偵と三公子たちはまずの妻が住んでいた住居で血まみれの衣服を発見する。更にが住む山頂の庭園に向かうと四方は高い壁に覆われ、門は閂で固く閉ざされている。そしてようやくこじ開けた庭園の中には死後一年は経過している王染夢の死体があった。

 

この事件の謎は大きく分けて3つ。

 

1,誰が王を殺したのか

2,犯人はどのようにして密室殺人を作り上げたのか

3,王の妻はどこに行ったのか

 

密室殺人に関して名探偵

「犯人は壁を上ったのよ!

「私たちが突入する前に誰かが死体を部屋の中に入れたに違いないわ!」と迷推理をして熊禎

「警察の調べでは人間どころか動物も上った形跡はないとよ」

「どうやってそこまで運ぶんだよ」

と窘められる。

 

この二人の絡みをボクは脳内でハルヒキョンに置き換えているのだが、当たらずとも遠くない妄想だと思う。特にが死体を見て失神し、起きたら熊禎に八宝粥を要求する箇所で不覚にもキュンとさせられた。

 

遺留品や手紙から失踪した妻を見つけ出すあたりは偶然に頼らず推理力だけを駆使しており、名助手熊禎の実力をうかがい知れる。密室も山頂という自然を利用していながら全くの作為的な作りであったため、実現の可不可はともかくアイディアには唸らされた。

 

しかし燕芹泥は可愛い。コレはシリーズ物なので次回も楽しみだ。

 



江成『Mystery 交换2/3杀人 2/3の交換殺人』

 

8月号でイチオシとされている作品。

交換殺人を持ちかけられた男とターゲットが殺された。周囲が雪に囲まれた村のホテルに暮らす人々は犯人の影に怯えながら謎を解く。

 

交換殺人を題材にしたミステリだが、交換するのはターゲットだけではなく殺された人間すら入れ替えられて捜査の目を欺く。雪により閉鎖された空間で2つの死体は姿が見えない殺人鬼の影を思い起こさせる。

 

登場人物の一人であるホテルの宿泊客が殺人事件が起こってから、「冗談じゃないわ、誰が犯人かわからないのに一緒にいられるわけないでしょ!とか「アリバイならあなたから先に言ったらどう?」などとミステリにおけるKY発言を連発するのには閉口し多少イライラさせられた。

 

しかし死体が犯行を偽装するために損壊されて、更に別人と入れ替えられるという死者の尊厳が無視された閉鎖世界で、このややヒステリー気味の女性が一番人間らしく、作品に感情を注入していた。

 

この作品のキモは犯人のアリバイを崩すために、二体の死体が入れ替えられていて死亡推定時刻が欺かれ、2つの殺人事件が発生した時系列が実は逆だったと探偵が喝破するシーンだろう。実に凝ったトリックで読んでいてイマイチわからなかった。

 

 

 

ちなみに今号取り上げられている海外作品は西澤保彦『解体迅速』。表紙絵が残虐なのにチープなのでカストリ雑誌のイラストみたいだ。

 

 

というわけで買うたびにレベルが上がっているのが実感する歳月・推理は次号も期待できるデキだった。この後は、大陸浪人のススメの管理人さんお薦めの『暗訪十年』と、帯に『推理小説家ってみんな読者の頭を狂わせる。鬼馬星はその顕著な例だ』と書かれ、『実力では東野圭吾に比肩し、大陸新本格派でネットの返信率NO1中国のアガサクリスティとも称される超人気作家』とまで言われている鬼馬星『葬礼之後的葬礼』に着手することにする。

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無題
犬彦うがや
鬼馬星先生たのしみすぐる。ラノベが枯渇したら、中国からの翻案物が流行ったりしないかな。
無題
阿井 URL
今日Togetterで翻訳物について話し合っている方々がいましたね。中国の作品が訳されれば、ボクはその本の中身よりも後書きや解説を誰がどのように書くのかが一番興味があります。

中国語の小説って会話文に男女の区別がないし、語尾や口調も特徴がないので翻訳次第ではいくらでもキャラ付けができそうに思えます。
『重小説』ってライトノベル雑誌も買ったまま放置しているのでこっちから着手した方が良いかもしれません。
無題
Dokuta URL
やはりtwitterはできなくなってしまいましたか…、残念ですね。

『重小説』、どんなのだろうと思って検索してみたら、表紙がハルヒ(笑)

これはまずいだろうと思ったんですが、よく見るとわりと立派な表紙なので、これって普通に正式許諾を得たライトノベル雑誌ってことなんでしょうか。中国オリジナルの作品も載ってるんですか?

鬼馬星の感想も期待してます。
無題
阿井 URL
ボクが持っている重小説は巻頭カラーで日本のギャルゲーとその月に日本で出るライトノベルの紹介がされています。掲載作品は虚淵玄のアイゼンフリューゲル、唐辺葉介のPSYCHE、シークレットゲーム キラークイーンの3本です。付録CDは『続・殺戮のジャンゴ -地獄の賞金首』のサントラ。

中国人のラノベ目的で買ったボクとしては、18元でとんだ翻訳物を掴まされた感じです。二次元狂熱っていう有名なアニメ雑誌の系列なので掲載されている作品もゲーム関係のものなのですが、この微妙さが海賊盤ではない正規版の臭いを感じさせます。
実際は無許可かどうかは不明です。

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