中国にいる日本人同士がずっと会話をし続けられる話題の一つに接客態度の悪さが上げられる。
やれメニューがいつまで経っても出てこないとか、レジで買った商品をぶん投げられたとか、品物の値段聞いたら調べもせずに適当な値段言われてぼったくられたとか、「これ火が通ってないから温めなおして」と言ったら舌打ちされたとか、「細かいお金ない」と言ったら舌打ちされたとか、「『涼』のビール頼んだのに全然冷えてねぇじゃねぇか」と文句言ったら舌打ちされたとか、在中日本人はこのような一触即発の状況を幾度と無く展開させてきました。
かく言うボクも以前に近所の食堂に入り浸って、いっつもご飯を『打包』(テイクアウト)で頼んでいたらとうとう店員に顔を覚えられたようで、ある時ボクがいつものように注文を終えたら店員が厨房の方に「打包の奴が来たぞー」と叫ぶのを見てから二度と行くのを止めました。
最近では、市場で珍しいオリーブの瓶詰めを見かけたので店員に値段を聞いたら店員ごとに異なる値段を口にして、最終的に5元ぐらい値下がりしましたが値段を間違えた店員の口から謝罪の言葉はついぞ出ませんでした。
これが中国らしさと諦める忍耐力があるか、いちいち喧嘩を売る体力があれば中国で長く生活できるんでしょう。しかし先日コンビニでされたあまりにも失礼な仕打ちには怒りや悲しみを通り越して逆に店員が心配になりました。
今年の元宵節は2月24日でした。この日は湯円という団子を食べる日で、スーパーじゃ冷凍湯円が飛ぶように売れますが、一人暮らしにはあまり関係がありません。その客層を狙ったのがセブン・イレブンで、元宵節近くになると一人用の湯円を売り始めます。
こっちのセブン・イレブンってイベントにはけっこう気合を入れていて、クリスマスでは店内でケーキの売り込みをしていることもあり、弁当買うにしてもレジで「あと2元で野菜ジュースをお付けしますが」みたいなことを言ってきます。
その日も近所で毎日のように通っているセブン・イレブンで買い物をしたらレジで男の店員に「湯円いりますか」と取って付けたように薦められました。
でも湯円は去年も一昨年も買って食べてるんですが、結論美味しくないんですよね。お汁粉感覚で食べると全然甘みが足りなくて満足できず、しかも腹に溜まるからおやつ食ってるのかご飯食ってるのかわかんなくなって一人用のものすら結局残します。
だから「いる」とも「いらない」言わずに無視していたら、おでんコーナーにいたおばさんの店員がレジに向かっていきなり「そいつ日本人だから言ってもわからないよ」と叫びました。
それを聞いたレジの店員が納得したような薄ら笑いを浮かべたので、ボクはもう腹が立つやら悲しくなるやらでそいつに向かって「オレは湯円なんか去年も一昨年も食ってるからいらない。そもそも日本じゃ元宵節がないんだよ」と反論になっているのかわからないことを捲し立てると、「おお、中国語できるじゃねぇか」と感心されました。おばさん店員はその反応がおかしかったのか笑っていました。
正直な話、セブン・イレブンの店員なんかにはこれっぽっちも期待してないんですよ。商品を地面に直置きするし、レジでケータイいじってるし、呼んでもなかなか来ないし、店員が多い分、他のローカルのコンビニより接客態度の粗さが目立ちます。
そもそもそのおばさん店員とは以前話したことがあるんですよね。「アンタ毎日来てるけどセブン・イレブンの社員なの?」と方向性がわからない質問をされて、一言二言会話を交わしたことはあります。
だからそのおばさんにしたら顔馴染みに向けた軽口だったのかも知りませんけど、しかし客に対して「そいつには言ってもわからないよ」は暴言が過ぎるんじゃないだろうか。
ボクは常々中国の接客業は態度が悪く、サービス精神が低く、デリカシーがないと思っていましたが、今回の件で単純に考えが浅いだけなんじゃと理解するようになりました。
本当に中国語がわからないのか、怒りっぽい人間なのかどうか、これを言ったら問題にならないのかとちょっとでも考えたら上記の発言なんか絶対に出ないはずです。
それを踏まえた上での暴言だったら大したもんですけど。
日本を担ぎ出して比較したくはありませんが、今回のようなことが日本で起きたら軽くて苦情、重くて訴訟じゃないかな。
ただこんな侮辱をされてもため息一つ付いて諦められるのが中国の中国らしいところかもしれない。
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