以前も書きましたが、筒井康隆の新作が読みたいために日本からわざわざ送ってもらったファウストに中国の人気若手作家の作品の翻訳が載っていて思わぬ得をしたことがあります。
郭敬明が書いた『悲しみは逆流して河になる』は、中国の密接した住宅街に暮らす幼なじみの男女が閉塞した環境で互いを傷つけ合いながら、タイプの違った親の下で足掻くという青春小説です。
まだ完読していないので(ファウストには一章しか載っていなかった)断言はできませんが、男主人公の斉銘は父母の期待を裏切り、少女の易遙はクラスメイトの子供ができてしまい、軽蔑していた『売女』の母親と同じ道を歩むことで反抗の意を示すのだと思います。
訳者の泉京鹿は中国で反響を起こし、日本でも有名になった余華の『兄弟』を翻訳した人でなにやら革新的な作品を手がけることが多いそうです。
続きを読みたい、全翻訳をした本を買って原文と見比べるということをしたかったんですが、二年半も出なかったファウストを待っていられぬということで中国の本屋で探すことにしました。
そしたら見つけましたよ。『悲伤逆流成河』を。
講談社BOX編集長の太田克史氏が書いた日本語の推薦文が特徴的です。