喧騒を極めた上海万博が昨日10月31日で無事閉幕しました。
昨夜のテレビでは閉幕セレモニーが盛大に行われ、中国人とともに大勢の外国人が歌い踊っている様子が中継されました。また閉幕式の式典で温家宝首相は万博の成功を祝うとともに毎日欠かさず万博に通い続けた日本人の『万博おばさん』ついて言及するなどしたそうです。
上海万博に結局行かなかったボクに万博の思い出などなく、知人の口から語られる、万博会場の係員と知り合いだったから行列をスルーできた、とか入場制限がある中国館に入場できるチケットを独自ルートで入手したなどの土産話を聞くだけでしたが、何事もなく終わった万博に何故か安堵の感がこぼれました。
しかし、なにか忘れていないだろうか。
万博でとっても大きな話題があったまま放っておいた気が…
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アッ!!
北京は通州区の発明おじさんこと呉玉禄さんは自ら発明したロボットを引っさげて上海万博に参加したはず。
あのおじさんは果たして万博会場にたどり着けたのだろうか。てっきりアポ無しで会場まで来てロボットと一緒に警備員に追い返されたのではないかと思っていたのだが、百度で検索してみて仰天した。
なんと呉さんはちゃんと万博会場で自分のスペースを提供されていて、大勢の見学者に自分の発明品を披露したとのこと。更に驚愕すべきは呉さんは最近、発明品の価値が認められて多額のお金が投資されたらしい。
以下はニュースを適当に翻訳してまとめたものだ。
呉玉禄さんは村では知らない者がいない有名人。「呉さんはこの村一番の大スターだ」と村民は褒め称える。
17歳のときから作り始めたロボットの数は47に及ぶ。鳥の巣にある展覧館や万博会場に貸し出したため家にあるロボットは数台しかない。
2003年には『ロボットの子供』を引っさげ人民大会堂などで講演をおこない、『北京郊外の話題の人物トップ10』に選ばれた。
翌年2004年には湖南テレビ局主催の農民ロボット大会で栄えある一位に輝き、『最も聡明な農民発明家』の称号と賞金1万元を獲得した。
また2005年にはCCTVの番組でデザイン優秀賞を得た。
呉さんはロボット製作のためにお金を稼ぐことが何よりも大事だと語る。講演や学校での授業に積極的に参加し、製作したロボットを数万元の価格で売りに出す。ロボットで儲けた収入は数十万元に及ぶと語る。
そして2010年10月、ロボット製作の工場をもっと大きくしたい呉さんは《創意中国星》という番組に出演する。(日本で言うマネーの虎のような番組か)
そこで呉さんは自らのロボットが市場に回れば如何に儲かるか熱く正直に語り、結果100万元の融資を受けることに成功する。
しかし十分な工場設備を整えるには100万じゃ足りず、最低でも500万元は必要だと語る呉さんは、今後も発明を続け、スポンサーに追加出資をしてもらうつもりだと言う。
参考ニュースサイト http://finance.jrj.com.cn/people/2010/10/2414588398494.shtml
http://www.tianjinwe.com/rollnews/cj/201010/t20101025_2256790.html
あのえっと……
ドクター中松って言ってすいませんでした。
いや、初めて呉さんとロボットを見たときは無茶だやめておけと思いました。これじゃあ先行者の二の舞じゃないかと忠告したくなりました。
万博に出展すると聞いたときは現地で、アンタじゃ無理だ。オレが代わると日本館のトヨタ製のバイオリンロボットに肩を掴まれて退場させられると思いました。
しかしまさかこんなサクセスストーリーがあったなんて…
この呉さんのニュースを見て、ボクは『非誠勿擾』という映画の冒頭を思い出しました。
この映画のストーリーを大まかに言うと、結構年齢のいった男の婚活記で気に入った女性と最終的に北海道まで婚前旅行をするって内容です。ただ、男の結婚資金の出所が一風変わっています。
映画の冒頭で主人公は自作の発明品を携え大富豪のところへ行きます。
これさえあれば争いはすべてジャンケンで解決され世界中の戦争はなくなると売り込んだ発明品は見事大富豪に気に入られ、主人公は200万ポンドという大金をせしめることに成功するのでした。
のっけから飛ばしてはくれてんのねぇと視聴中は唖然としてしまったが、当時《創意中国星》という出資番組があることを知っていればすんなり笑えたのかもしれない。
100万元の出資を受けた発明おじさんの今後の活躍に期待です。
しかし呉さん、これからの市場拡大に向けて工場を作るのもいいですが、まずはデザイナーを雇ってはいかがでしょうか。
正直このロボットじゃあ大衆には受けないと思う……
《終わりに》
中国の動画サイト優酷には呉さんのロボットの動画が多く投稿されています。呉さんの作品には人型ロボットのほかに動物型や自動車などのロボットがあり、ボク個人としては後者のデザインの方が無骨な骨組みが見られて面白いと感じました。
Youtubeにもあるかもしれないので、興味が出た方は探して見るのも良いかも知れません。