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プロフィール
HN:
栖鄭 椎(すてい しい)
年齢:
33
性別:
非公開
誕生日:
1983/06/25
職業:
契約社員
趣味:
ビルバク
自己紹介:
 24歳、独身。人形のルリと二人暮し。契約社員で素人作家。どうしてもっと人の心を動かすものを俺は書けないんだろう。いつも悩んでいる……ただの筋少ファン。



副管理人 阿井幸作(あい こうさく)

 28歳、独身。北京に在住している、怪談とラヴクラフトが好きな元留学生・現社会人。中国で面白い小説(特に推理と怪奇)がないかと探しているが難航中。

 Mail: yominuku★gmail.com
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このブログは、友達なんかは作らずに変な本ばかり読んでいた二人による文芸的なブログです。      

龍瓶(中国語タイトルは龙缸):骨董時光

 

 

798芸術区の骨董品店兼書店で発見。前日にここで作者のサイン会が開かれていたようで唯一残っていたサイン本を偶然手に入れることができました。

 

 (作者の本名 劉越のサインがある)

本書はミステリ小説のジャンルに属してはいないがとある骨董品にまつわる謎に翻弄され、解明しようと言う人々を描いている面ではミステリ小説とも言えなくもない。骨董品をテーマにしたミステリ小説は少なくないが、本書ではそれを巡って殺人事件が起きることはなく、あくまでも骨董品の謎のみを中心に物語が展開します。

 

 


北京では名の知れた骨董収蔵家の安夢帰の住まいである四合院には清の時代から文革を経て現在まで隠されていた明朝時代の巨大な陶磁器の水瓶、通称『龍瓶』が遺されていた。明の皇帝が所有していたという国宝級の骨董をオークションする権利を得たオークション会社の時光は喜んだのも束の間、ライバル会社も全く同じ龍瓶を出品していることに気付き、どちらかが贋作ではないかという疑念を抱く。調査を経て贋作疑惑を強めた時光はついに景徳鎮まで向かい龍瓶の由来を確かめようとする。一方、安夢帰の一人娘である安晴は時光の部下として龍瓶を調べていたが、ライバル会社にいる大学時代の恋人の唐非との出会いが彼女の運命を変えていく。


 

 

龍瓶とは上の写真のような巨大な水槽です。

 

作者の骨董時光は現役の骨董品鑑定士ということもあり本書で紹介されている骨董品の見分け方はきっと作者本人の経験と知識に裏打ちされたものなのでしょう。物語の肝である龍瓶は文革中に壊されないように人の盲点を利用した場所に隠されていたのですが、作者の背景を知っているともしかしてこれも現実にあった隠し方なのかと楽しませてくれます。

 

清朝、中華民国時代、日本占領や文革などという中国史を踏まえた中国骨董業界を読者が重さを感じない程度に描き、更には舞台をイギリスにまで移して贋作に翻弄されるプロの様子が現実には存在しないはずの贋作に厚みをつけています。

 

不満点は視点の入れ替えが頻繁でキャラクターの個性があまり生かされていないことです。例えば時光はせっかく景徳鎮まで調査に行って重要な情報を掴んでくるのにその後は全然ターンが回ってきません。安晴はアメリカ帰りで中国文化に疎く、見る人によっては少々生意気に見みられる性格で、環境を内側から破壊する主人公に相応しく、きっと彼女が周囲の人間と協力や衝突を経て龍瓶の秘密を明らかにするのではと思いきや、唐非に会ってからはすっかり個性がなくなって物語の中心から姿をひそめます。こういうキャラクターの消費はもったいないと思いました。

 

作者にはまだたっぷりネタがあるでしょうから続編は絶対あるでしょう。作者の本意はわかりませんが次はもう少しミステリ色の強い作品に挑戦して貰いたいですね。

 

あとこの本では龍瓶が埋まっている場所の上空に龍が現れたり、縁のある骨董品同士が近づくと振動するなどの神秘的な現象が肯定的というかありふれたこととして描かれているのですが、もしかして実際の骨董品業界でも稀にあることなのかなと思ってしまいました。

 

 

 

 

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 海怪簡史:盛文強



 中国の海に関係する妖怪、怪人、怪異などを紹介した一冊。外篇と内篇に分かれているがこれは『体制外』と『体制内』の区別であり、外篇では人面亀の『海和尚』や『鮫奴』(人魚)、オットセイ?の妖怪『海狗精』(表紙の妖怪)などの単なる化物や、海の外の中国とは異なる国に生きていたとされた『長臂人』(手長)や『長股人』(足長)や胸に穴の開いている『穿胸人』などが収録されている。内篇では海の神様である『禺強』や堯の息子の『丹朱』、護法神となった『嘉氏二怪』などの中国の神様や祖先?が紹介されている。外篇は結構ユーモラスな海怪が多くいわゆる妖怪画集って感じなのだが、内篇は真面目な文献の紹介といった感じであまり面白くない。

 紹介文の出典が『山海経』や『聊斎志異』、『子不語』などの古典だけど本書では現代語に訳されているので読むのがそれほど難しくはない。

 ほとんどの海怪がイラスト付きなのが嬉しい。だからこそ値段がこの本のサイズでは高額な69元(1,100円ぐらい)に設定されているのだろうか。


五道口吧故事 著:賀

 

9つの短編からなる本書には北京の有名な学生街である五道口で発生した事件が吧(BBS)や微博(マイクロブログ)、微信(ウィーチャット)や他のSNSで不特定多数の第三者によって勝手に説明、解釈、推理されていく様子を描いた日常系の小説です。実際の吧や微信などの形式を流用していて従来の小説と構造が異なっているだけではなく、主人公もいないどころか小説の大半がコメントやニュース記事なのでけっこう実験的な小説と言っていいかもしれません。

 

 

五道口についてちょっと説明しますと、この地域は地下鉄の五道口駅を中心にしてショッピングモールやレストラン街が立ち並ぶ学生街です。また、北京語言大学を始めとした大きな大学が周辺にあり、各大学からの交通の便も良いのでその大学に通う外国人がたむろする留学生街でもあります。

外国人向けのバーやクラブやレストラン等も少なくなく、特に留学生の数が多い韓国人向けのお店が目立ちます。日本人向けなら、去年惜しくも閉店したとんかつとカレーのお店『ばんり』や日本語の漫画が読める現在休業中のマンガ喫茶『B3』、安い値段でそこそこの寿司などを食べられる『一心』などがあります。

 

ただし五道口は今でこそ深夜でも開いているお店が多いですが、十数年前はかなり辺鄙で治安の悪い場所だったようで、実際に日本人男子留学生が五道口で行方不明になる事件も起きています。(現在も行方不明のまま)。

 

また、私が留学していた時代には2008年か2009年に韓国人の女の子が黒車(白タク)の運転手に強姦されて殺されるという話を聞いたことがあります。この話は真偽不明ですが当時の私は本当に起こったことだと信じていました。

 

 

本書はその五道口で起こった殺人事件やニュースサイトに取り上げられた三面記事などがインターネット上で姿の見えない情報発信者たちによってどのように伝播されていくのかを書いていますが、別にインターネットやSNSの影響力の強さを書いているというわけではありません。

作中では犯人の素性を暴けみたいに鼻息の荒いコメントが出てきますが、それらの反応が現実に反映される様子の描写はなく作品世界はネットのみで完結しています。毎日BBSSNS等に貼り付いている人間の大半は新しいニュースに一喜一憂し、自分たちが予想だにしなかった真相に驚くだけの受け身なのですが、その中にはまだ公にされていない新事実をアップする存在もいます。第三者だけが集まって喧々諤々と限られた情報について喋っているところに新しい情報をもたらしてくれる情報提供者は重宝されますが、その正体を考えると今度はそちらに興味が向かいます。

本書ではこのような事情を知る人間のコメントを出してホラー風味を付け足していますが、その他に明らかになる真相というのが本当に意外なので、伏線のない新事実の後出しはアンフェアではあるもののミステリとしてもまぁまぁ楽しめました。

戦国鬼忍伝 著:姽婳

 

第一印象は「アレ?山田風太郎の作品の中国語訳でも出たのかな」だったが中国人作家が書いたオリジナルの日本時代小説だった。

 

ときは戦国時代。幼少期に明国から日本に流れ着いた中国人の少年・張若生は甲賀忍者の杉谷に拾われ忍者として育てられるものの心は祖国である明にあり、ある日里を抜け出してしまう。しかし育ての親の杉谷が織田信長に無残に殺されたことにより彼は忍者として生きることを決意し、織田信長に復讐を誓う。敵対する忍者組織や同じ里で育った抜け忍と幾度と無く戦ううちに彼は一人前の忍びとして成長していく。

 

 

なんというか、全体的に見どころがとっちらかりすぎと言うか、作者がこの350ページを超える本書で一番書きたかった場面がどこなのかが全く伝わってこず読むのに非常に疲れた。外国人が書いた日本の小説、しかも戦国時代を舞台にしている物語に対して時代考証が間違っているとかそういう野暮な指摘はしない。だから本書が小説として面白かったかどうかだけを評価してみたいと思うが、これが全然面白くなかった。

 

 

主人公の張若生はナルトみたいな単純で激情型の性格で里の上役たちの命令も聞かず一人で突っ走ってしまったり、自己紹介で「俺は忍者だ」と言ってしまうほど脇が甘く、忍者の才能がないというよりも、こいつは忍者としての訓練をちゃんと受けていないんじゃないかと、むしろこんな子供を育てた甲賀の里の教育に問題有りと思うほどだった。

まぁそういうキャラクターがいちゃいけないわけじゃないんだけどストーリーもこの張若生任せだから全体的に単調で、少年張若生が青年になるまでの10年間を描いているから本来なら成長に伴い徐々に盛り上がっていくはずなのに展開に全く起伏がないように見える。多分作者は忍者が半人前から一人前になる過程を丁寧に書きたかったんだと思うけど、いくら成長しようがそこには自分の良心に基づいて行動するという現代の価値観と合致した成人がいるだけで、忍者にも、ましてや数百年前の人間には到底見えなかった。

 

 

実はこの本、出版が2015年の5月なのだが半年後の11月になって豆瓣のレビューで散々叩かれて軒並み星1つの評価が下されている。その理由についてここでは詳しく述べないが、辛口のレビューでお馴染みの競天澤はこの本について星1つどころか星半分だとまでこき下ろしている。

  

『戦国鬼忍伝』消費者レビュー

 

彼のレビューというか検証はねちっこいけど読み物として十分に面白いので中国語が分かる人は是非とも読んで欲しい。何より、原作でどうも文章と時代設定が合致しない怪しい記述を百度で調べたらニュース記事の一文をそのままコピペしたものだったという発見には本当に笑わせてもらった。

 

一応作者の名誉のために補足しておくが本書から3ヶ月後に出版された『姑獲鳥』というタイトルのサイコホラー小説は結構評価が良い。本書でも終盤の光秀が信長に叛意を抱く過程なんか読んでいてグイグイ引き込まれたので、心理描写に関しては上手いんじゃないかと思う。だからこの作者の正式な評価は『姑獲鳥』を読むまで保留にしておこう。

別人家的校服/漫友文化

  

 中国を含む世界各国の実在する制服のイラストや制服をテーマにした漫画などを載せた画集です。出版元の漫友文化は以前にも『料理美男図鑑』、『理科美男図鑑』、『文科美男図鑑』と言った料理や学校の教科を擬人化した画集を出していましたが、今回はちゃんとモデルがあります。

 

料理美男図鑑 料理擬人化画集


理科美男図鑑及び文科美男図鑑 漫友文化編(黒龍江美術出版社)


見どころはやはり中国の学校の制服が載っている点ですね。中国の学生は一般的にジャージを着用しているのですが、本書に紹介されるように一部の学校では『制服』が指定されています。上海や広州には制服指定の学校が多いとは聞いていましたが、まさか北京にも制服の学校(しかも女子校)があったとは思いませんでした。

 

 (北京・華夏女中)

 

中国以外には台湾・香港、韓国、イギリス、ベトナムなどの制服が紹介されており、日本からは大阪市立梅南中学校、東海大付属相模高等学校・中等部、岡山県岡山市就実高校、千葉萌楊高校の制服が掲載されていますが、これらの学校はどんな基準があって選ばれたのでしょうか。
 

 

 (広州・広雅中学)

 

 岡山県岡山市就実高校

 

こう比較するとスカート丈が中国と日本でだいぶ違うのに気付かされます。

 

 

本書には他に学校が開催した『制服デザイングランプリ』に自身が考えたデザイン案を投稿する女の子を描いた漫画や、実際のモデルを起用し青春を感じさせる高校生活の1シーンを写した写真などが掲載されていてけっこう読み応えがあります。漫友文化には擬人化シリーズよりも実在する文化をもっとイラスト化して欲しいですね。






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