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プロフィール
HN:
栖鄭 椎(すてい しい)
年齢:
34
性別:
非公開
誕生日:
1983/06/25
職業:
契約社員
趣味:
ビルバク
自己紹介:
 24歳、独身。人形のルリと二人暮し。契約社員で素人作家。どうしてもっと人の心を動かすものを俺は書けないんだろう。いつも悩んでいる……ただの筋少ファン。



副管理人 阿井幸作(あい こうさく)

 28歳、独身。北京に在住している、怪談とラヴクラフトが好きな元留学生・現社会人。中国で面白い小説(特に推理と怪奇)がないかと探しているが難航中。

 Mail: yominuku★gmail.com
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このブログは、友達なんかは作らずに変な本ばかり読んでいた二人による文芸的なブログです。      
 

 年末年始に帰国した時に札幌のラルズプラザ古本市で購入した江戸川乱歩の『探偵小説の「謎」』やら権田萬治の『日本探偵作家論』は日本のミステリに疎い私にとって大きな収穫になり、また中国の探偵小説を理解する手がかりにもなった。

 『探偵小説の「謎」』で乱歩は動物を使ったトリックの例として
訓練したオウムに宝石を盗ませるというモリスンの短編を紹介しているのだが、1924年の中国では趙狂という作家がオウムに盗品の隠し場所を喋らせるという探偵小説『鸚鵡口中』を発表している。

 読んだ当初はオウムと会話をするという無茶な設定に呆れたが、この作者が上記のモリスンの短編を読んでいたとしたらオマージュとして別の評価を下すことができる。

 『モルグ街の殺人』をモデルにして
翻訳者黄翠凝が書き上げたであろう『猴刺客』という例もあるし、そもそも『中国探偵小説の父』こと程小青が著した『霍桑シリーズ』はまんまシャーロック・ホームズだし、孫了紅はアルセーヌ・ルパンの活躍の舞台を中国に移したようなものなので、中国の探偵小説家がどれほど英米の作品を参考にしていたのかを把握しないことには正当に評価できないだろう。

 中国の探偵小説も1900年代前半のは探偵ありトリックありで昔の作品と割り切って読めばつまらなくはないのだが、50年代以降の作品からは探偵が消失して公安が活躍する共産党礼賛文学に成り下がっているので読むに耐えない。
 日本じゃ戦中に探偵小説が出せなくなり、作家は国威発揚のスパイ小説や軍事小説を書かざるを得なかったと
『日本探偵作家論』に書いてあったが、中国じゃ世界大戦よりも国共内戦からの国民党との戦いが探偵小説に大きな影を落としたようだ。

 言わば日本も中国も同じような道のりを歩いていたのに、日本じゃその後社会派ミステリが台頭して探偵小説が一般的に受け入れられていったのに、中国じゃ公安を主役にした作品が廃れるどころか探偵小説のトップに据えられ、流石に露骨な政府賛美は薄れたとはいえ今でも公安法制小説というジャンルは生き残っている。


 何故中国は本来の探偵小説に立ち返られなかったのか。松本清張が生まれなかったからという単純な理由なのか、それとも時勢に乗ってミステリ要素を二の次にした公安法政小説が権威を持ってしまったところに中国ミステリの不幸があるのか。


 面白い作品にはそれを成立せしめる背景がある。そしてつまらない作品もそれ相応の理由があって生まれるわけであり、中国のある時期の探偵小説を読む際にはそこら辺も知っておかないと壁にぶん投げて二度と手に取らないということもあるかもしれないのだ。

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無題
くじら URL
書かれてから時間の経った小説を読むには時代背景や、その地域では常識とされた事へのリサーチも必要になる場合ありますね。

オマージュの他にも、書かれた当時は当たり前のことだったため特に説明ないが、前提になる知識ないと理解できない描写がポンと出てきたり。
無題
阿井 URL
くじらさん

時代背景や当時の科学的常識を理解していないと、そもそも推理の根幹が成立しないミステリもありますからね。
戦中の中国の推理小説で被害者は日本軍の関係者だから犯人にお咎め無しっていうオチもありました。

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