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栖鄭 椎(すてい しい)
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36
性別:
非公開
誕生日:
1983/06/25
職業:
契約社員
趣味:
ビルバク
自己紹介:
 24歳、独身。人形のルリと二人暮し。契約社員で素人作家。どうしてもっと人の心を動かすものを俺は書けないんだろう。いつも悩んでいる……ただの筋少ファン。



副管理人 阿井幸作(あい こうさく)

 28歳、独身。北京に在住している、怪談とラヴクラフトが好きな元留学生・現社会人。中国で面白い小説(特に推理と怪奇)がないかと探しているが難航中。

 Mail: yominuku★gmail.com
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このブログは、友達なんかは作らずに変な本ばかり読んでいた二人による文芸的なブログです。      

 


 


中国の南宋(1127年~1279年)に実在した官僚の宋慈1186年~1249年)を主人公にした歴史ミステリー小説短編集。


 


 


ウィキペディアによれば、宋慈は南宋で実在した官僚で、数多くの事件の真相を明らかにし、無実の人々の冤罪を晴らした君子だったらしい。彼が著した『洗冤集録』は世界初の法医学書と言われており、当時の検死方法などを記した内容は他国や後世にも影響を与えたそうだ。


 


本書には、表題作『雕題国的宝蔵』の他に『剥皮尸』『奇肱国的飛車』『長股国的奇技』の計4作を収録。長汀県(福建省)に知県(県の長官)として赴任してきたばかりの宋慈が、頼りになる部下たちと共に奇妙な殺人事件を捜査するという内容だ。知県という絶対的な権力者である宋慈にとって捜査自体は難しくない。大体の捜査対象は協力的だし、捜査が何者かに妨害されるということもない。捜査の過程をスリムにするために、このように権力を持つ探偵を主人公にするのは短編ミステリーでは特に有効だろう。


 


タイトルに出てくる雕題国、奇肱国、長股国はどれも古代中国の『山海経』などに記された伝説上の国で、作品にもそれにちなんだ設定やキャラクターが登場する。しかし超常的な展開にはならないので、そこはミステリー小説としての節度を保っている。


『雕題国的宝蔵』は、火災で燃えた邸宅から出てきた死体から所持品が消えており、その焼け死んだはずの人物が旅籠で刺殺死体で見つかるという話。『剥皮尸』は、主人と召使いが旅の道中に殺され、召使いは足の皮を剥がされていたが、動機が不明なので捜査を進めるという話。『奇肱国的飛車』は、小島で武器開発者とその弟子が何者かに殺され、弟子が首無し死体で発見される。海賊の仕業かと疑われたが、動機は開発された武器だということが分かり、疑惑が弟子たちに向けられるという話。『長股国的奇技』は、身売りされた娘が2階から落ちて死ぬという事件が起き、塩を専売する商人が犯人かと思われたが、関係者の証言を調べると他の犯行動機が浮かび上がるという話。


4作の収録作品の中で、あるトリックが頻出するのはちょっと辟易したが、大本となるストーリーはどれも歴史的魅力を感じられて、短編ではもったいないほどの世界観だった。特に『奇肱国的飛車』は南宋時代に実際に発明されたとされる「突火銃」を巡る事件や敵国の陰謀が描かれ、空を飛ぶ車まで出てきてとてもロマンにあふれていた。


 


 


中国には、唐代に実在した官僚の狄仁傑や北宋時代の政治家の包拯など当時の司法の世界で腕をふるった賢人がおり、現在でも探偵の題材として用いられている。しかし(当時としては)科学的な手法を用いて、「検死」というジャンルで活躍できる古人までいるとは思わなかった。中国の人材の層の厚さに驚くばかりだ。
   惜しむらくは彼らがみな別の時代に生きていたことであるが、もういっそのこと中国古代の探偵を一同に集結させた架空歴史ミステリーでも誰かに書いてもらいたいものだ。


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