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HN:
栖鄭 椎(すてい しい)
年齢:
36
性別:
非公開
誕生日:
1983/06/25
職業:
契約社員
趣味:
ビルバク
自己紹介:
 24歳、独身。人形のルリと二人暮し。契約社員で素人作家。どうしてもっと人の心を動かすものを俺は書けないんだろう。いつも悩んでいる……ただの筋少ファン。



副管理人 阿井幸作(あい こうさく)

 28歳、独身。北京に在住している、怪談とラヴクラフトが好きな元留学生・現社会人。中国で面白い小説(特に推理と怪奇)がないかと探しているが難航中。

 Mail: yominuku★gmail.com
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このブログは、友達なんかは作らずに変な本ばかり読んでいた二人による文芸的なブログです。      

 


 


 作者プロフィール・本格ミステリーを愛し、「巧妙」だと思わせるトリック、論理、切り口などの本格要素に惚れ込む。現在好きな推理小説家は小島正樹、麻耶雄嵩、大山誠一郎、青崎有吾ら。


 


トリックも犯人の動機も、そして探偵の推理も、作者の頭の中ではそれで整合性が取れているんだな、としか言えないような内容だった。


 





大富豪・汪康森の孫娘・汪雨と付き合うことになった一般会社員の呉寒峰は、汪康森の遺産相続問題に付き合わされ、雲雷島に行く。そこは過去に「金木水火土」の方法によって島民になぶり殺された同性愛者の男性同士の怨念が渦巻く孤島で、汪康森は日本人建築家・中村紅司が建てた寺、塔、館などで執事やメイドらと共に暮らしていた。汪家全員が集まり、遺産配分の発表を控えた当日の朝、雲雷寺内で金属の矢に首を射抜かれた汪康森の死体が見つかる。続いては汪雨涵の父親が高い木に突き刺さり、沼に沈んだ状態で見つかる。そして今度は汪雨涵の叔父がトイレ内で溺死死体となって見つかる。果たしてこれは怨霊の仕業なのか。呉寒峰は万が一に備え、これまでの事件の経緯を記した紙を瓶に詰め、海に流すのだった。





 


トリックだけを見るとかなり牽強付会というか、物理学とかを持ち出して色々複雑性やリアリティを出しているが、結局は机上の空論をトリックにしましたという先走った感覚が否めない。そもそも、読者に解かせる気がないのではないか、とすら疑ってしまう。しかしそれ以上に非現実的なのが、犯人の動機及びトリックにかける執念であり、この犯人の強い思いがあればどんなトリックでも絶対に遂行できそうだと納得させられた。


 


また章の合間に挟まれる「幕間」では、主要ストーリーには登場しない女性が密室殺人事件に巻き込まれ、その恋人が彼女の冤罪を晴らすために奔走するという話が描かれ、これがどのように本筋に絡んでくるのかが気になるところだ。


 


しかしそれでも、お前(作者)がそう思うんならそうなんだろう お前ん中ではな(画像省略)としか言えない内容だった。


 


 


以下ネタバレあり。


 


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少女福爾摩斯1氷裂紋花瓶殺人事件 著:皇帝陛下的玉米


 


牧神文化からもらった1冊。10万文字にも満たないのですぐに読める。女の子2人組が活躍するが百合要素はあまりない。


 





16歳の頃からアイドルとして活動してきた秦慕斯(チン・ムース)は19歳の時に所属していたグループが解散し、ソロ活動を余儀なくされ、引っ越すことになる。引越し先の貝殻街(ベイカー街)221B棟にある英国風建築物にはすでに夏落(シャー・ルォ)という女の子が住んでいた。慕斯を一目見るなり、彼女の職業から家までどうやって来たのかまで簡単に推理してみせた夏落は探偵業を営んでおり、ペット探しや浮気調査などはしないというスタイル。


ある日、慕斯がレポーターをしているグルメ番組の収録に夏落がゲストとしてやってくる。しかしそのお店で番組プロデューサーが死体となって見つかる。棚の上から落ちた花瓶がぶつかって亡くなった事故かと思われたが、夏落は他殺を主張。警察が止めるのも聞かずに事件の捜査を始める。





 


別に少女だからと言って警察に事件の介入が許されるわけではなく(むしろ警察に目の敵にされている)、むしろなんの後ろ盾もないので普通の探偵キャラより不利な状況にあるかもしれない。事件の真相の解明が第一だと考える典型的な探偵キャラである夏落より、アイドルとして大成したい慕斯の方がよっぽど一般的だ。ただ、1巻を読んだだけでは従来の探偵・助手コンビの枠を出ない感じなので、今後2人の仲がどう進展するのか見てみたいものだが、百合展開などあり得ないだろうからその辺りは期待するだけ無駄か。


 


肝心の事件は、犯人の一言によって関係者の視線が誤った方向に誘導されるというトリックで、作中でも言われているが、探偵がいなくても警察の捜査で何とかなっただろうというレベル。だからこそ、本作における探偵の存在意義はなんだろうと考えさせられた。慕斯に対する夏落の自己紹介代わりにも見えるが、ではやはり2人の関係性をもっと掘り下げてほしかった。


 


前回の『少女偵探事件簿』もそうだったが、果たして19歳を少女と言って良いのか自分には疑問だ。タイトル詐欺じゃないか。しかしこの本、登場人物は19歳だがタイトルに「少女」とあるように対象読者層は多分中高生なんだろう。しかし、今の中国、中高生に殺人事件を捜査させてはいけないのか、本当の「少女探偵」にお目にかかるのは難しい。


 


 

 


 


 上下巻の短編集。タイトルに「少女」と付いていて、制服のような服を来ている女性が表紙にいるのだから主人公は女子中学生か高校生かと思いきや、実は大学生というタイトル&表紙詐欺。もしかしたら今の中国は、未成年が積極的に殺人事件に関与する物語が書きづらくなっているのかもしれない(中国は18歳で成人)。


 





大学生の林萌は三度の飯より事件が好きという探偵バカの女の子。名探偵のいとこがいるので警察にも顔が利き、大学内外で起きる殺人事件の数々に首を突っ込み、真相を明らかにしたいという思いに動かされて半ば非情に事件を解決していく。幼馴染の陳然、警察官の張翔、ドラ息子の頼沢鋒らに迷惑をかけながら愛憎渦巻く事件の真相に触れていくうちに、彼女は徐々に成長し、そして自身も大きな陰謀に巻き込まれていく。





 


タイトルの「少女」とは林萌の精神年齢を表しているのかもしれない。彼女は探偵としては一流で正義感に溢れているが、やや幼い部分があり、真実を明らかにするために事件の被害者や関係者に失礼な口を聞き、それを特に何とも思っていない。探偵にありがちな無神経な性格で、他人の気持ちを図れない描写が目立つ。しかしそれも、事件に絡む大人たちの複雑な人間関係や白黒付けられない結末などによって、真相よりも大切な守るべきものがあると悟るようになる。


 


徐々に相手を思いやれる人物に成長していく一方、彼女が真実とどのように折り合いをつけて、周囲の人物との関係性もどう発展していくのかが気になったが、本書はラストに衝撃の展開を迎えて2巻に続く。ネタバレになるから詳しくは書けないのだが、本書最終話で突然謎の組織が出てきたかと思いきや、林萌をスカウトし、彼女が二度と探偵ができないような罠にはめてしまうのである。


終わり方がまさかの続編商法であり、しかも重要な組織の存在が余りにも唐突に出てくるので、なるほどこの大学でこんなにも殺人事件が起きるのはコイツラのせいだったのかと合点が行くが、その組織の具体的な目的もわからないまま終わるので、あらゆる疑問を残し、読者を置き去りにしたまま終わった感じだ。


普通の大学生の周りで日常的に殺人事件が発生するという非日常的展開を強引に構成するとともに、様々なシチュエーションの犯罪を描き、しかもオチまできちんと用意しているという、13040ページという短編はどれも佳作だ。しかも一人の人間が成長していく経過も書いていて、連続性もあった。


このクオリティを維持したまま2巻が出れば完璧なのだが、林萌の立場が大きく変化するであろう2巻では1巻と同じような探偵的行動は取れないはず。売上等の問題で2巻が出なければ、この1巻に0点の点数をつけても問題ないだろう。

帯に「中国版Xファイル」と書いていたから、ファンだった身としてちょっと期待したんだが、いまいちな内容だった。ってか調べたら、今回買ったのは新装版で、もともとは2009年に出た本だった。二重に騙された気分だ。


 


 





複雑怪奇な事件を解決して市民の不安を解消することを目的として、公安庁は極秘に「詭案組」(不可思議な事件の捜査科)を設立した。この部署に回された慕申羽をはじめとした個性的な面々が、幽霊や化物の仕業としか思えない凶悪事件を解決していく。





 


「中国版Xファイル」と銘打たれている以上、気になるのは作品内で起きる事件が本当に超常現象による物かどうかということだったが、残念ながらみな「人間」が起こしたものであった。一般的なミステリー小説は、一見すると人知を超えた実現不可能な犯罪が捜査によって徐々に現実的になっていくが、本作の事件は真相が明らかになっていっても一般人では再現不可能な「特質性」がある。ただ、その不可思議性に甘えて非論理的で非現実的な話を書いている感も否めず、人間がそんなペースで人を殺して、しかも証拠を残さないなんていうことはあるのか、とか、いくら常人とは違う体だと言ってもそんな生活で生きていけるのか、とか気になる点は多々あった。


 


しかし最も気になる箇所は、キャラクターの設定を生かしきれていないという点だろう。本作には普通の警察小説では絶対登場しないような警察官が出てきて、例えば主人公の慕申羽は過去の事件から足に怪我を負っていて、警察としての将来は期待されていなかったが、手品のプロで手先が器用だ。「詭案組」は他にも、非常に好戦的な女性警官、スカウトされた元ハッカー、特殊能力を持つ小柄な女性など、格別の個性や過去を持っているキャラクターがいるが、本書では話が進むほど出るキャラが減っていくのだ。


 


それもそのはず、本作は当初からシリーズ化や映像化を見越して、色々なキャラに様々な過去を持たせて、小出しにしていって一つの大きな物語に仕上げるはずだったのだ。多分。


 


結局のところ、物語として整合性が取れない箇所を「超常現象」で誤魔化しているような作品で、ホラーとしてもミステリーとしても突出できていない作品だった。あと、そもそも中国で『Xファイル』ってそんなに有名なんだろうか。


 


 


 


 


中国の南宋(1127年~1279年)に実在した官僚の宋慈1186年~1249年)を主人公にした歴史ミステリー小説短編集。


 


 


ウィキペディアによれば、宋慈は南宋で実在した官僚で、数多くの事件の真相を明らかにし、無実の人々の冤罪を晴らした君子だったらしい。彼が著した『洗冤集録』は世界初の法医学書と言われており、当時の検死方法などを記した内容は他国や後世にも影響を与えたそうだ。


 


本書には、表題作『雕題国的宝蔵』の他に『剥皮尸』『奇肱国的飛車』『長股国的奇技』の計4作を収録。長汀県(福建省)に知県(県の長官)として赴任してきたばかりの宋慈が、頼りになる部下たちと共に奇妙な殺人事件を捜査するという内容だ。知県という絶対的な権力者である宋慈にとって捜査自体は難しくない。大体の捜査対象は協力的だし、捜査が何者かに妨害されるということもない。捜査の過程をスリムにするために、このように権力を持つ探偵を主人公にするのは短編ミステリーでは特に有効だろう。


 


タイトルに出てくる雕題国、奇肱国、長股国はどれも古代中国の『山海経』などに記された伝説上の国で、作品にもそれにちなんだ設定やキャラクターが登場する。しかし超常的な展開にはならないので、そこはミステリー小説としての節度を保っている。


『雕題国的宝蔵』は、火災で燃えた邸宅から出てきた死体から所持品が消えており、その焼け死んだはずの人物が旅籠で刺殺死体で見つかるという話。『剥皮尸』は、主人と召使いが旅の道中に殺され、召使いは足の皮を剥がされていたが、動機が不明なので捜査を進めるという話。『奇肱国的飛車』は、小島で武器開発者とその弟子が何者かに殺され、弟子が首無し死体で発見される。海賊の仕業かと疑われたが、動機は開発された武器だということが分かり、疑惑が弟子たちに向けられるという話。『長股国的奇技』は、身売りされた娘が2階から落ちて死ぬという事件が起き、塩を専売する商人が犯人かと思われたが、関係者の証言を調べると他の犯行動機が浮かび上がるという話。


4作の収録作品の中で、あるトリックが頻出するのはちょっと辟易したが、大本となるストーリーはどれも歴史的魅力を感じられて、短編ではもったいないほどの世界観だった。特に『奇肱国的飛車』は南宋時代に実際に発明されたとされる「突火銃」を巡る事件や敵国の陰謀が描かれ、空を飛ぶ車まで出てきてとてもロマンにあふれていた。


 


 


中国には、唐代に実在した官僚の狄仁傑や北宋時代の政治家の包拯など当時の司法の世界で腕をふるった賢人がおり、現在でも探偵の題材として用いられている。しかし(当時としては)科学的な手法を用いて、「検死」というジャンルで活躍できる古人までいるとは思わなかった。中国の人材の層の厚さに驚くばかりだ。
   惜しむらくは彼らがみな別の時代に生きていたことであるが、もういっそのこと中国古代の探偵を一同に集結させた架空歴史ミステリーでも誰かに書いてもらいたいものだ。



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